食中毒リスクが上がる? 食中毒予防で気をつけたい日常生活の注意ポイント

 
 
 
 
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■食中毒予防、基本さえ押さえれば大丈夫?

食中毒の原因菌や食中毒予防の基礎知識については、「食中毒を予防しよう(https://allabout.co.jp/gm/gc/301291/)」で詳しく解説しましたので、今回は生活シーンの中でありがちな、食中毒のリスクを高めてしまうNG行動と具体的に気をつけたいポイントについてご紹介します。

■スーパーのお買い物動線、生鮮品はなるべく最後に
食中毒を防ぐために、食品業界の生産・加工、物流の衛生管理が徹底されることはもちろん必要ですが、私たち生活者にも責任はあります。特に近年の夏は日中の気温も高く、お買い物をする際には、スーパーで氷をもらう、持参の保冷剤やクーラーバッグを使うなどしたいものです。

肉や魚など、いたみやすいものはできるだけ最後に買うように、買物の動線も気をつけましょう。仲の良い人と出会っても、もし生鮮品を買った後なら、お喋りの花を咲かせずに、できるだけ早く帰宅し冷蔵庫や冷凍庫に入れてしまいましょう。

■車内温度の高さも危険。トランクだけでなくシートの熱さにも注意を
車でお買い物をする場合、スーパーのパーキングが屋外の時には、車内の温度が上がります。JAFの調べ(2020年3月)では、「外気温が23〜24℃と快適な気候でも、車内温度が上昇した」結果が報告されていました。

調査では、軽ワゴンと、近年人気の高くなっている大型SUVで1時間後の温度を比較したところ、車内では大型SUVは43.5℃となり、軽ワゴンよりも6℃高かったそうです。ダッシュボードも57℃を超えていました。その原因は、大型SUVの方がフロントガラスの表面積が大きいからと考えられます。

私もお買い物をする時によくすることですが、お買い物をしてバッグに詰める時には、一番下に安定のよい形の肉や魚のパックを下に入れています。しかし熱くなったシートに座った時には、「熱い!」と思わず感じることがありますよね。そのシートに直接お買い物バッグをのせると、その熱が伝わって、品質の劣化や、食中毒の原因菌の繁殖の恐れもあるでしょう。

クーラーボックスや気密性の高いクーラーバッグなら安心でしょうが、保冷剤を使う程度なら、シートとバッグの間に厚めのタオルなど一つクッションになるものを挟むなどの工夫をした方がよいと思います。車のトランクも温度が高くなります。

■加熱済み食品でも油断禁物! 煮込み料理でウェルシュ菌繁殖も
調理面では、食中毒を防ぐためにもしっかり加熱することがポイントですが、中には「熱に強い殻(芽胞)を作る」という特徴を持ったウェルシュ菌やセレウス菌などがあります。

ウェルシュ菌による食中毒は、大量調理の施設などで起こるケースが多く、家庭での発生は他の食中毒と比べて少ないのですが、2012年3月に広島県で、複数の家庭で前日から作ったカレーで食中毒がおこり、患者便及び残品のカレーからウェルシュ菌が検出されました。

特にカレーなどは、スパイスがたっぷりだから、腐敗し難いというようなイメージもありますが、やはり管理の仕方次第なのです。

前日に作った煮込み料理でウェルシュ菌が繁殖する状況を解説しますと、

・調理加熱によって、熱に弱い他の細菌は死にますが、熱に強いウェルシュ菌の芽胞(100℃で1〜6時間でも耐える)が生き残ります。

・料理を鍋に入れたまま室温で放置しておきます。ウェルシュ菌は、酸素が嫌いで、酸素のない所で増えやすい特徴があります。鍋の中で酸素が少ない状態で、43〜45℃の環境になると、芽胞から通常の菌体に戻り繁殖します。

・翌日食べる際に、一度火を通してあるからと過信してしっかり加熱しないと、ウェルシュ菌は死にません。その食品を食べて、腸の中で芽胞を作る際にエンテロトキシンという毒素を産生し、腹痛や下痢を起こします。

発病するのは食後6〜18時間(平均10時間)で、24時間以降に発病することはほとんどありません。症状は一般的に軽く、1、2日で回復しますが、基礎疾患のある患者、特に子どもや高齢者ではまれに重症化することもあるようです。

大量調理や作り置きはしない方がよいのですが、忙しい現代人はなかなかそんなことも言っていられません。前日から作り置きしておく場合に気をつけることは……。

・調理した後は、手早く中まで十分冷まし、冷蔵・冷凍して保管する(10℃以下)
・温めなおすときに、よく下から混ぜて空気を入れ、十分加熱する(55℃以上)

ウェルシュ菌と同様に、セレウス菌の芽胞も熱に強いタイプです。特に穀類、豆類、香辛料などはセレウス菌に汚染されていることが多いといわれています。セレウス菌の芽胞は、90度で60分の加熱でも耐えられます。

嘔吐型と下痢型の2種類があり、米飯類や麺類を原因食品とする「おう吐型」の食中毒が多く発生しています。嘔吐型、下痢型ともに重症化することはまれで、大半のケースは軽症です。

チャーハンやパスタ、焼きそばなど、デイキャンプなどでもよく作られるメニューです。加熱調理していても過信せずに、作りすぎても翌日まで置かないようにしましょう。

ボツリヌス菌も、芽胞で守られ、熱や消毒薬にも強い菌で、ウェルシュ菌やセレウス菌よりも深刻な致死率の高い菌です。自家製の保存食品からでも感染する場合があります。自家製保存食を作る際には、新鮮な物を選び十分に洗浄すること。塩や砂糖等、ph調整など菌の増殖を抑えること。また保存中に缶やパックなどが変形していたり、あけてバター臭のするものは食べないようにしましょう。

■参考
・知ろう、防ごう、食中毒(公益社団法人 日本食品衛生協会)
・ウェルシュ菌 ファクトシート(食品安全委員会)
・セレウス菌 ファクトシート(食品安全委員会)
・食中毒から身を守るには(厚生労働省)
・くらしの健康(東京都健康安全研究センター)
・日本農業新聞(6月12日)
・真夏じゃなくても要注意!?春先から初夏の気候で検証 車内温度の上昇による熱中症の危険性(JAF)
その他


ソース: dメニュー ニュース

著者: Keiko Minami (NR / Supplement Advisor / Food and Health Guide)

▼南 恵子プロフィール食と健康アドバイザー。学術誌編集部、広告制作会社などを経て、フードコーディネーター、エコ・クッキングナビゲーター、裏千家茶道準教授などの資格を取得。健康と社会に配慮した食生活の提案、商品企画、執筆、講演等を通じ、毎日の健康管理に欠かせない「食」に関してわかりやすく豊富な情報発信を行っている。

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