添加物や不健康な成分を多く含む超加工食品の摂取量が多いと認知機能の低下が加速する可能性、サンパウロ大学研究報告
超加工食品の食べすぎで認知機能が低下?
超加工食品の摂取量が多いと、認知機能の低下が加速する可能性を示唆する研究結果が報告された。サンパウロ大学(ブラジル)のNatalia Gomes Goncalves氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Neurology」に2022年12月5日掲載された。
超加工食品とは一般に、砂糖や塩、脂肪、人工着色料、防腐剤などの添加物や不健康な成分が多く含まれていて、例えば冷凍食品、清涼飲料、ファストフード、味の濃いスナックなどが該当する。
これらの食品を好む習慣は、肥満やメタボリックシンドローム、心臓病などのリスク上昇と関連していることが報告されているが、新たな研究では、それらに加えて認知機能低下リスクとの関連が浮かび上がった。
この研究は、2008~2017年にブラジルの6都市で多施設共同前向きコホート研究として実施された。研究参加登録時に食物摂取頻度アンケートにより超加工食品の摂取量を含む食習慣を把握。
1万5,105人の参加者から、認知機能の評価結果や交絡因子の情報が不足している人、摂取エネルギー量が極端な人(1日600kcal未満または6,000kcal以上)の人、および認知機能に影響を及ぼす可能性のある薬剤が処方されている人を除外して、1万775人(平均年齢51.6±8.9歳、女性54.6%、56.6%が大学卒以上)を解析対象とした。
中央値で8年(範囲6~10)追跡して、ベースライン時の超加工食品摂取量と認知機能の変化との関連を検討。
その結果、超加工食品の摂取量(総摂取エネルギー量に占める割合)の多い第4四分位群(上位25%の群)は、包括的認知機能の低下の速度が第1四分位群(下位25%)に比較して28%早く(P=0.003)、実行機能の低下速度が25%速かった(P=0.01)。
Goncalves氏によると、「実行機能とは目標を計画して実行する能力のことで、包括的認知機能とは実行機能、言語の流暢さ、記憶など、評価した全ての認知機能の総合的な評価の結果であり、包括的認知機能の低下は日常作業の妨げとなる」とのことだ。
得られた結果についてGoncalves氏は、「因果関係の証明にはならないが、認められた認知機能の低下速度の速さは、超加工食品の消費によって引き起こされる脳の微小血管障害、脳容積の減少、または全身性炎症に起因するものの可能性がある」と述べている。
また、「何を食べるかという選択は、健康な脳機能の維持に重要なポイントとなる。中年期は特に、老後に向けてライフスタイルを変える重要な時期だ。ただし、食生活を改善するのに遅すぎるということはなく、高齢者であっても健康的なライフスタイルに変えることのメリットを期待できる」と話している。
なお、超加工食品の摂取量が多いことによって肥満が助長される可能性があるが、今回の研究ではそのような変化の影響を考慮しても、認知機能の低下に関連していたのは体重増加ではなく、超加工食品の摂取量だったという。
これらの結果に基づきGoncalves氏は、「臨床医は患者に対して、出来合いの食品や菓子などを購入する代わりに、新鮮な食材を使って自宅で料理するよう助言すべきではないか」と提言している。また、超加工食品の大量摂取が直接的な脳のダメージとなるのかを確認するため、さらなる研究を計画中とのことだ。
この研究に関与していない、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの臨床栄養士のSamantha Heller氏は、「食べているものではなくて、食べていないものが認知機能に影響を与えている可能性もある」と指摘する。
同氏によると、習慣的に超加工食品を摂取している場合、炎症の抑制や健康の維持に重要な食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの摂取量が減る可能性が高く、それら微量栄養素の不足が影響を及ぼすとも考えられるとのことだ。
さらに、超加工食品の過剰摂取は、高血圧、2型糖尿病、心臓病、肥満のリスクの増加を介して、脳の健康を妨げるように働くという。
「超加工食品は、それらに対する渇望を刺激するように作られており、製品広告があふれていることも購買意欲を高める。つまり、消費者が超加工食品を望むのは消費者のせいばかりではない。しかし、食品メーカーのそのような戦略を認識し、食べるものを決めるのは消費者自身だ」とHeller氏は注意を促している。
ソース/ @DIME.JP
文/ DIME編集部