ドイツのオーガニック食品見本市「ビオファ2023」、デジタルとリアルで日本産食品をPR
ドイツ南部バイエルン州ニュルンベルクで2月14~17日、オーガニック食品国際見本市「ビオファ(BIOFACH)2023」が開催された。前回は新型コロナウイルス感染症の影響から例外的に7月開催だったが(2022年8月9日記事参照)、今回は通常どおり2月に開催となった。95カ国から2,765社が出展、135カ国から約3万6,000人が来場した。
ジェトロはニュルンベルクメッセ運営のジャパン・BIO・パビリオンに出展。デジタルとリアルの事業を組み合わせ、いつでも海外バイヤーと日本国内の事業者がつながることができるオンラインプラットフォーム「Japan Street」や、パリの「日本産食品サンプルショールーム」から持ち込んだ日本茶や、みそなどのオーガニック商品を紹介した。同時に、日本食との組み合わせでインバウンド需要を喚起すべく、日本政府観光局(JNTO)の冊子を配布したところ、欧州を中心とする多くのバイヤーの関心を捉えることができた。同パビリオンの隣には、日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会(JONA)と、むそう商事による共同運営ブースも設置され、計23社の日本企業が出展、パビリオンと合わせて日本企業全体として日本をPRした。会期中、柳秀直・駐ドイツ日本大使と前川信隆・駐ミュンヘン日本総領事が和爾俊樹(わにとしき)ジェトロ・ベルリン事務所長の案内により、それぞれ日本企業と意見交換した。
ジャパン・BIO・パビリオンに出展したアクティトレーディングは、ドイツのオーガニックワイン会社を通じて、積極的にオーガニック日本酒の輸出拡大を目指している。同社が取り扱う日本酒の酒蔵は特に酒米にこだわりを持ち、岡山や滋賀の契約農家とともに有機酒米を作っている。有機認証を取得して日本酒を製造できる蔵はまだ少ない。しかし、2022年10月に改正JAS法が施行され、JAS規格の制定対象に有機酒類が加えられた。その結果、製造業者は有機酒類に有機JASマークを付けることができ、欧米など主要な輸出先に関しては、当該国・地域の有機認証が未取得でも、有機同等性を利用して有機として輸出できるようになった。有機酒類の市場が拡大する中、対EU・英国向けの日本酒全体の輸出は好調で、国内関連業者の間ではビジネスチャンスが広がるとの期待感が広がっている。
また、ベルリン州のパビリオンでは、Grote & Co. Spiritsのブースが前回に続き注目を集めていた。同社はベルリンの老舗高級百貨店カー・デー・ベー(KaDeWe)などでオーガニックのスピリッツを販売するスタートアップだ。アルコール飲料を飲まない消費者層が拡大する中、ノンアルコール飲料のオーガニック商品も扱う。同社は日本市場参入も目指している。
日本茶など多様な飲料・食品でにぎわう
欧州全域で日本茶の関心をさらに高めるため、ベルリン在住の日本茶大使(注)の田辺結美氏(2022年8月22日記事参照)は自身がいれた抹茶ラテとほうじ茶ラテに、バリスタがラテアートを施し、来場者に振る舞い、嗜好(しこう)のアンケートを実施した。
また、海外のEC販売プロジェクト「Japan Mall」事業連携先のオランダの北海水産の最高経営責任者(CEO)で、「日本食普及の親善大使」のマリナス・ノーデンボス氏が同社のOEM商品の日本産有機しょうゆをジェトロブースで紹介した。
展示会ならではの出合いとして、ジェトロブースの隣に出展したイタリアの小麦粉分野のモリトリア・ウンブラ(Molitoria Umbra)のシェフ、ジョバンニ・ペコラ(Giovanni Pecora)氏が抹茶に興味を持ち、日本茶大使の田辺氏と即興のコラボレーションも実現。その場で抹茶パスタを手打ちした。欧州域内での日本産オーガニック食品の普及や応用の可能性も確認できた。
Japan Streetに登録した有機食品の現地バイヤーからは、会期直後にも日本からの商品調達の要望が寄せられた。
次回の「ビオファ」は、2024年2月13~16日にニュルンベルクで開催予定。
(注)日本茶輸出促進協議会が任命。
(小菅宏幸、小飼志保、矢島佳子)
(ドイツ、日本)
ソース/JETRO
文/JETRO